2015年9月18日に行われました第34回秋季大会「学会総合検討委員会 自殺対策専門部会企画シンポジウム」の記録データを掲載しております。
※「概要・出演者等」、「内容」は、プログラム/論文集に掲載したものです。内容、出演者等、変更になっている場合もあります。
記録データ
概要・出演者等
『若年自殺増加の背景にある社会的状況とは -現象理解の糸口を探る-』
9月18日(金)10:00~12:00
司会者: | 高野 久美子(創価大学/学会総合検討委員会自殺対策専門部会) |
勝又 陽太郎(新潟県立大学/学会総合検討委員会自殺対策専門部会) | |
シンポジスト: | 岡 檀(和歌山県立医科大学) |
鈴木 晶子(一般社団法人インクルージョンネットよこはま) |
内容
2012年に見直しが行われた自殺総合対策大綱では、近年の若年世代における自殺死亡率の上昇を受け、若年層の自殺予防に重点が置かれることとなった。 学会総合検討委員会では、過去2度にわたって若年層の自殺予防に焦点をあてたシンポジウムを開催したが、今年はさらに若者を取り巻く社会状況にまで視野を 広げたシンポジウムを企画した。
若年者の自殺死亡率が上昇している背景にどのような社会状況が関連しているのか。この問いに真正面から答えることは非常に困難であり、その全体像の理解 に近づくためには、多様な専門性を持つ研究者や実務家同士での領域横断的な連携が必要不可欠であることは間違いない。しかし、日々の臨床実践を振り返る中 でもしばしば頭に浮かんでくるこうした素朴な問いに対して、多くの人が分析の糸口を欲していることもまた事実であろう。本シンポジウムは、まさにそうした糸口を探ろうとする試みの一つである。たとえば、若者を対象とした近年の調査報告では幸福感を抱く者が増加していると いうが、その一方で自殺が増えているという状況をどのように理解したらよいのだろうか。和歌山県立医科大学の岡檀先生からは、ご自身が実践されてきた自殺 希少地域における自殺予防因子に関する研究についてお話しいただく中で、自殺希少地域の住民が抱く幸福感の特徴についても詳しく解説をしていただき、若年 者の幸福感と自殺との関連について議論を深めたいと考えている。他方、若者を取り巻く社会的状況の中でも、経済的問題の深刻さが近年際立って報告されるようになっている。特に若年者の貧困問題は自殺の増加とも関係が 深いものと考えられる。一般社団法人インクルージョンネットよこはまの鈴木晶子先生からは、そうした若年生活困窮者に対する地域支援の現場から見えてくる 実態と課題についてご報告いただく中で、若年者の自殺が増加している社会的背景の考察を深めるとともに、その対策についても議論を深めたい。本シンポジウムでは、もう一つの視点として研究と現場実践とのつなぎの中で立ち現われてくる対策の進め方にも焦点を当てたいと考えている。本年3月に公 表された「科学的根拠に基づく自殺予防総合対策推進コンソーシアム準備会」の「若年者の自殺対策のあり方に関するWG会議」報告書でも触れられている通 り、今後の若者の自殺予防対策においては、科学的根拠が得られにくい、しかし切実な臨床現場での「実感」をどう掬い取り、検証し実践につなげていくかが今 後の課題の一つであり、まさに当学会がイニシアチブをとって関与すべき課題であると思われる。なお、本シンポジウムは、自殺予防週間9月10日~16日における本学会の協賛企画とする予定である。
若年者の自殺死亡率が上昇している背景にどのような社会状況が関連しているのか。この問いに真正面から答えることは非常に困難であり、その全体像の理解 に近づくためには、多様な専門性を持つ研究者や実務家同士での領域横断的な連携が必要不可欠であることは間違いない。しかし、日々の臨床実践を振り返る中 でもしばしば頭に浮かんでくるこうした素朴な問いに対して、多くの人が分析の糸口を欲していることもまた事実であろう。本シンポジウムは、まさにそうした糸口を探ろうとする試みの一つである。たとえば、若者を対象とした近年の調査報告では幸福感を抱く者が増加していると いうが、その一方で自殺が増えているという状況をどのように理解したらよいのだろうか。和歌山県立医科大学の岡檀先生からは、ご自身が実践されてきた自殺 希少地域における自殺予防因子に関する研究についてお話しいただく中で、自殺希少地域の住民が抱く幸福感の特徴についても詳しく解説をしていただき、若年 者の幸福感と自殺との関連について議論を深めたいと考えている。他方、若者を取り巻く社会的状況の中でも、経済的問題の深刻さが近年際立って報告されるようになっている。特に若年者の貧困問題は自殺の増加とも関係が 深いものと考えられる。一般社団法人インクルージョンネットよこはまの鈴木晶子先生からは、そうした若年生活困窮者に対する地域支援の現場から見えてくる 実態と課題についてご報告いただく中で、若年者の自殺が増加している社会的背景の考察を深めるとともに、その対策についても議論を深めたい。本シンポジウムでは、もう一つの視点として研究と現場実践とのつなぎの中で立ち現われてくる対策の進め方にも焦点を当てたいと考えている。本年3月に公 表された「科学的根拠に基づく自殺予防総合対策推進コンソーシアム準備会」の「若年者の自殺対策のあり方に関するWG会議」報告書でも触れられている通 り、今後の若者の自殺予防対策においては、科学的根拠が得られにくい、しかし切実な臨床現場での「実感」をどう掬い取り、検証し実践につなげていくかが今 後の課題の一つであり、まさに当学会がイニシアチブをとって関与すべき課題であると思われる。なお、本シンポジウムは、自殺予防週間9月10日~16日における本学会の協賛企画とする予定である。
※プログラム/論文集に掲載したものです。内容、出演者等、変更になっている場合もあります。